Re: 13B-MSPチューン


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Contributor ナイトスポーツ 日時 2004 年 4 月 10 日 13:42:46:

回答先: 13B-MSPチューン Contributor みゅう 日時 2004 年 4 月 10 日 11:48:47:

: 今日和。ナイト様に質問です
: RX-8はせっかくNAロータリーなので
: NAメカチューンって云うのを考えたりもしてます
: で、E/G単体(吸排気系、コンピュータ以外)では
: どんなチューニング方法が考えられるのでしょうか?
: NAなのでフィーリングと高回転の伸びを
: 重視したいのですが…
: なにとぞ御教授ください。

ナイトスポーツ中村です。
こんにちは。

RX-8のNAチューニングですね。
ちょっと長くなりますが、チューニング方法を整理しますね。
エンジンチューニングは、良い吸気、良い圧縮、良い点火、良い燃焼、そして良い排気から成り立ちます。
エンジンに新規エアーをより多く充填させるために、慣性力と脈動波を使います。慣性力はその名前のとおりで、高回転で吸気をしている時に、インテークが閉じる直前になっても、空気の慣性力を使ってダメオシ的に吸気を押しこむことです。これにはペリフェラルポートなどが有効ですが、市販車ではちょっと関係ない話ですね。
脈動波とはエンジンの吸気や排気の圧力変化で起きる脈動波を利用して充填を高めるチューニングです。FC,FD、そしてRX−8はこれを細かくチューニングして出来あがったエンジンですね。僕らはコンピューターのチューニングでインテークの各バルブタイミングを変更するテストもしましたが、結局純正がベストでした。この点純正は非常にすばらしい出来映えです。
抵抗を減らすと言う考えでエアクリを変える方がいらっしゃいますが、実際にエアクリのフィルターをはずしてもパワーは上がりません。つまりフィルターの交換ではパワーアップしません。またフィルターケースをはずして、ケースの前にあるダクトをはずすと、前記の脈動波チューニングが狂ってしまい、5000rpm以下のトルクが減ってしまいます。あのダクトは外部からエアーを導くための者ではなく、脈動波のためのポートの長さを調整するものです。
サーキットだけなら短くして高回転だけ良くしてもいいでしょうが、市街地走行を目的としたら、5000rpm以下のトルクが減ることは速さにつながらないでしょう。
そうなると、良い吸気のためには、純正のままで使うことがベストになります。

良い圧縮のためには、ローターの圧縮比を変えたり、シールの製作精度を上げたり、慣らしを丁寧に行なって、シール性の向上を良くする方法があります。しかしどれも現実的では無いですね。慣らしも終わっているでしょうし。

良い点火は点火装置の問題ですね。現在の点火装置はトランジスター点火です。これは誘導放電で薄い空燃比の混合気に長い時間をかけて着火させる方法です。
スパークは最初に派手なスパークの容量放電が1マイクロセカンドほど放電されます。見た目ははでなのですが、あまりに放電時間が短いために着火しません。しかしこの派手な放電で空気の絶縁が壊れて、次の誘導放電の通り道が出来あがります。そして容量放電が5000−10000Vぐらいなのに対して、300−500Vぐらいのか細い誘導放電が1.5ミリセカンドぐらい行なわれ、その間に着火します。CDIによる点火装置にすると容量放電がトランジスター点火に比べて100倍ぐらい長く放電をさせることが出来て、濃い燃調には有効です。しかしRX−8は薄い燃調ですからいくら放電時間が長くなったと言っても、CDIの放電時間では数少ない燃料分子にうまく着火させる事が出来ない場合もあります。
そのような理由で現在の市販車は薄い燃調にトランジスター点火を採用しているのです。そうなると誘導放電を生かすためにも高抵抗のコードと着火点のおおい純正プラグの組み合わせがベストになります。実際に低抵抗コードを装着してもパワーアップにはつながりませんでした。

良い燃焼は燃焼室形状や燃焼室温度に関係しますが、これは簡単なチューニングでは関係ない話ですね。

最後に良い排気になります。排気は吸気と同じで抵抗と脈動波のチューニングです。排気抵抗は少ないほうが良いですが、脈動を減衰させては意味がありませんね。大きな排気管などがその例です。ターボ車ではないので、排気管も脈動をうまく使う太さになります。そのため触媒も太い管を使ったり、メタル担体を使ってもパワーアップになりません。弊社も商品開発のためにメタリットをさんざんテストしましたが、純正よりも下がることはありませんが、あがることもありませんでした。そこで何万円かの商品で、パワーのあがらないものは販売の意味がないので商品化を断念しました。1−2年して、純正が壊れるころになったら、安価な代替品として販売するつもりですが、パワーアップ商品ではありません。
脈動と言う点で考えると、EXマニホールドがありますね。純正は触媒を短時間で活性させるために、パワーより排ガス浄化のマニホールドになっています。つまり排気直後に集合させているのです。そこで脈動の1次波を排気効率アップに流用させるために、約300mmぐらいの後方でF,Rの集合をさせるようマニホールドを製作しました。約300mmで8000rpm付近をターゲットとしたマニホールドになります。しかしここでもいくつかの問題があります。まずRX−8のエンジンはインターミディーエイトハウジング内でF,Rが集合してしまっているのです。そこでバッフルをいれました。またバッフル直後から2本に分離させています。各社が販売されているマニホールドを見ると3本になっていますが、弊社が現在テスト中のマニホールドは4本です。そのために製作も面倒で時間がかかってしまいました。また、普通のエンジンはオーバーラップがあるために、脈動でEXポート閉じ終わり時にダメオシで吸い出す排気にオーバーラップで開いているインテークから、吸気エアーまでも吸い込んで排気を良くするのですが、RX−8にオーバーラップが無いため、それが出来ません。つまり従来のエンジンほどは有効ではないのです。でもほかに無いですからテストは行なっています。
このマニホールドの正確なご報告はもうちょっとで出来ますから、ちょっとだけ待ってください。

これらのことから、エンジンを分解してチューニングを行なうのではないなら、

吸気系、点火系は純正のまま使うのがベスト。
排気系はパワーが上がるマフラーに純正の触媒。それにマニホールドの変更。
コンピューターで燃調を触媒が破損しない限度まで変更して、点火時期をノックの問題の無い範囲まで進める。

これらで、コンピュータ側が6−7馬力。排気系で6−7馬力。合計12−14馬力のアップ(マニホールド分は後で追記します)
ここまでが現状でのチューニングでしょう。

実はある用途のためにRX−8のチューニングエンジンを作り、ベンチであーだこーだやっています。現時点ではベンチ250馬力ぐらい。動力計補正をいれて260馬力ぐらいです。純正のエンジンが220馬力ぐらいですから、それに比べれば良いのですが、NAチューニングは1馬力1万円の世界ですから大変です。

中村




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